本研究が明らかにしたことは,わが国の会計基準設定機関である企業会計基準委員会(ASBJ)が,中長期的に,その置かれている組織自体の環境認識にもとづいて基準開発戦略を策定し,その戦略を遂行するために組織を編成し,基準開発行動を変えている,ということである.より具体的には,ASBJ発足当初の「捕囚型」基準開発行動から「追い風型」基準開発行動への変化が見られるのである.ただし,2009年~2012年におけるASBJの基準開発活動は,期間中に起こった環境変化により,環境認識・基準開発戦略・組織構造の観点からの十分な説明ができておらず,追加的な検討が必要である.
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