研究課題/領域番号 |
15K03805
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研究機関 | 兵庫大学 |
研究代表者 |
沖野 光二 兵庫大学, 共通教育機構, 准教授 (00319906)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 戦略報告書 / ソフトロー / ハードロー / コーポレート・ガバナンス / 統合報告 / 英国 / 南アフリカ |
研究実績の概要 |
伝統的な企業報告の情報開示のあり方は、財務的資本の保全管理(スチュワードシップ)に焦点が当てられ、財務的価値創造の結果としての財務的業績を説明責任(アカウンタビリティ)の対象としてきた。本研究は、ますます複雑になる企業活動の非財務情報から財務情報への関連性を結びつける価値創造連鎖のプロセス(事業モデル)に関する企業情報開示のあり方について、コーポレート・ガバナンスの履行状況とその結果の影響(アウトカム)を説明する視点から、特に先駆的な英国の実務・制度を手がかりに考究・提示しようとするものである。 第二年度(平成28年度)は、英国企業の戦略報告書に関する実態調査に加え、英国のコーポレート・ガバナンスの捉え方について、その類型化(分類化)を試み、英国をモデルとする南アフリカ共和国の統合報告におけるコーポレート・ガバナンスの捉え方についても比較検討した。英国企業の戦略報告書の作成プロセスおよび内容については、追跡調査と確認調査のために、渡英によるミーティング調査を行った。 英国法の信託法理に関しては、法体系・法哲学・法理学の理解に裏付けられる法的理論研究を含め、その生成と形成の歴史的分析に取り組んでいる。また、非財務情報の電子化(XBRL化)に関する現状と課題の分析に関しては、英国においては財務情報の電子化にとどまっていることを確認している。 英国は平成28年度の6月に国民投票によりEU離脱を決定し、3月にはEU側に離脱手続きの通告を行った。これにより、今後英国の法体系のあり方がどのようになるのか不確定な時期に入ったことを認識している。非財務情報の開示に関するEU指令およびEU規則の制定が英国会社法の戦略報告書の内容の変更にどのように影響するのか不確定となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英国の統合報告を議論する際に、英国会社法の戦略報告書作成規定に基づく報告なのか、民間の国際機関である国際統合報告審議会(IIRC)が提唱する国際統合報告フレームワークに準拠する統合報告なのか、その両方を兼ね備えた報告なのか、見極めた上で比較検討しながら行っている。 英国企業の戦略報告書について、追跡調査と確認調査のために、渡英調査によるミーティング調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
英国企業が戦略報告書を実際にどのように作成して開示しているのかについて、ウェブサイトによる調査を基本としてケーススタディ(実態調査)を行う。また、ケーススタディの追跡調査と確認調査のために、渡英調査によるミーティング調査を行う予定である。 研究成果を社会に還元すべく、学内のエクステンション・カレッジによる講座開設、学会報告、ジャーナル投稿、シンポジウムの開催により、公表する予定である。
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