| 研究課題/領域番号 |
15K03912
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| 研究機関 | 静岡大学 |
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研究代表者 |
日詰 一幸 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30241152)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | ＮＰＯ法人 / 生活協同組合 / 学校法人 / 生活困窮者支援 / 食品ロス |
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| 研究実績の概要 |
初年度である平成27年度は２つの研究課題を設定した。一つ目は、日本の現在のフードバンクの全体像の把握である。この点について、日本の老舗的フードバンクであるセカンドハーベストジャパン（東京）でのヒアリング調査を実施し、その他に岩手、仙台、名古屋、芦屋、岡山、広島で活動を展開しているフードバンクの実態をヒアリング調査した。その際、同一の内容に基づいてヒアリング調査を行い、相互の比較が可能な情報を入手することができた。その結果を踏まえて、二つ目の課題である日本のフードバンクの類型化に関する検討を進めた。
その結果、日本のフードバンクの類型化に関しては、次のような考察を得ることができた。設立母体としてはＮＰＯ法人が多いが、その他に生活協同組合（仙台市）や学校法人（岡山県高梁市順正学園）が主体となるフードバンクも活動を展開していることが分かり、多様な主体による生活困窮者支援が始まっていることが判明した。一方、フードバンク設立に際し、「食品ロス」への対応がきっかけとなったフードバンクもあり、設立の背景も一様でないことが理解できた。その結果、類型化に当たっては、設立主体とフードバンク活動のきっかけが生活困窮者支援を主体とした団体＝福祉機能重視型と「食品ロス」への対応を主体とした団体＝環境機能重視型の軸を設定することができた。
以上のように、現在の日本におけるフードバンクの類型については、暫定的に法人型（法人格を有する団体）－非法人型という軸と福祉機能重視型－環境機能重視型の軸とで類型化することができた。次年度以降に向けては、このような類型化の精緻化を試みていく予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に設定した２つの研究課題については、おおむね実施することができた。特に、日本のフードバンクの全体像を把握するということで、日本国内の各地において特徴的な活動を展開しているフードバンクでのヒアリング調査を実施することができたことは有意義であり、その後の類型化についての考察に役立った。
２つ目の課題である類型化に関しては、この分野に関する研究論文も数は多くないため、その意味では今回の研究成果を公表することにより、日本のフードバンクの研究に一定の貢献をすることができるものと考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
初年度は、日本のフードバンクの全体像を把握し、その類型化を目的として研究を進めたが、フードバンクは海外でも展開しているため、次年度に関しては、海外の事例の研究を進める予定である。その際、フードバンク発祥の地であるアメリカのフードバンクやアジアでも精力的にフードバンク活動を推進している韓国等の事例は参考になると考えており、実際に現地を訪れてヒアリング等の調査を実施する予定である。
また、海外のフードバンクの事例をヒアリング調査を行うことにより、日本のフードバンクの特性を明らかにする。さらに、2015年4月より施行された「生活困窮者自立支援法」に対する日本のフードバンクの対応の実態についても検討を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
ヒアリング先の団体に対し、ヒアリングに応じていただくために謝金が必要であることを見込んで、人件費・謝金を計上しておいたが、実際には、今回のヒアリングが「研究目的」であるということで、すべて無償でヒアリングに応じていただいた。そのため支出することがなかった。また、資料整理に資する学生アルバイトも予定していたが、そのような作業が発生しなかったため未消化であった。
また、出張先についても、先方の予定がかなわずに予定していたフードバンクのヒアリングができなかったこともあり出張予算の未消化が生じた。さらに、物品の購入経費も洋書等が年度内に納入される確証を得られないものもあったため、購入を断念した書籍もあったことから未消化分が生じている。
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| 次年度使用額の使用計画 |
次年度に関しては、国内でヒアリングを実施できなかったフードバンクに加えて、海外調査を予定している。当初の計画通り、フードバンク発祥の地であるアメリカのフードバンクの他に、韓国のフードバンクとその制度等について調査を計画している。アジアのフードバンクの調査は当初の計画になかったものであるが、次年度調査に組み込む予定である。また、資料整理に資するアルバイトに支払う経費も見込んでいる。さらに、初年度に納入の可否が不明で購入することができなかった洋書等の購入も予定している。
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