本研究は、平成27年度から平成29年度までの3カ年であったが、その後延長申請を行い平成30年度が最終年度となった。延長後の1年間においては、日本におけるフードバンクの実態についての総まとめをおこなった。 その結果、以下のことが明らかになった。第一は、日本におけるフードバンクは2011年以降設立数が増加するという特徴があるということ。第二は、2011年の東日本大震災後、ならびに2015年の生活困窮者自立支援法の施行等により、日本のフードバンクは日常生活圏における生活困難や生活困窮と深くかかわるようになったということ。近年はその数を大きく増加させている、「子ども食堂」との関わりも増えてきており、フードバンクの新たな役割が加わっていると判断できること、第三は、日本のフードバンクは民間主導型という特性があるが、ここ数年地方自治体も生活困窮者支援の枠組みの中にフードバンクを位置付けるようになり、群馬県太田市や前橋市は行政が自前のフードバンクを運営するようになった。しかし、ここにおいては官民連携の形態が模索されるという側面もみられること、等が挙げられる。 また、今回の研究では、日本の今後のフードバンクのあり方を考察するため、台湾及びアメリカ・シカゴのフードバンクの調査も実施した。台湾はアジアでもフードバンク活動が盛んな国の一つであり、日本同様に民間主導型の運営がなされており、今後も日本のフードバンクの運営方法の参考とすることができることが明らかとなった。
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