研究課題/領域番号 |
15K03994
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研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
直島 正樹 相愛大学, 人間発達学部, 准教授 (00465874)
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研究分担者 |
橋本 好市 神戸常盤大学, 教育学部こども教育学科, 教授 (00342171)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保育ソーシャルワーク / 保育者の業務・役割 / 保育者の専門性 / スウェーデンの就学前教育・保育 / オーストラリアの就学前教育・保育 / 実践的展開に向けた課題 |
研究実績の概要 |
平成30年度は本研究の最終年度であり、スウェーデン(以下、瑞典)およびオーストラリア(以下、豪州)の就学前教育・保育視察で得た知見のさらなる分析を行った。同時に、これまでの研究を踏まえながら、保育ソーシャルワーク(以下、保育SW)に関わる理論・知識・技術基盤、実務基盤(担い手)、実践的展開に向けた課題等について検討した。 日本の保育現場における保育者の基本的な業務も、瑞典・豪州と同様「子どもの保育・教育」である。しかし瑞典のように「ソーシャルワーク(以下、SW)に関わる業務はソーシャルワーカー(以下、SWr)にほぼ全面的に委ねる」形式をとるのは、現在の日本の保育・福祉・教育制度、保育士や社会福祉士の養成課程、国民性等から考慮すると困難と考える。昨今の保育所等を利用する家庭の現状等を鑑みると、SWに関わる業務の一端を担うことも必要となっているが、保育者の専門性、業務の負担過重等の観点から考えると、保育者が全面的に担うことは難しい。また、保育者個々の意識・専門的力量等によっても担える範囲・程度が異なる。 そこで保育者は、日々の保育と関連させたSW視点の共有を図った上での支援、すなわち、SWに関わる業務の一端を担う(最初の窓口的・つなぎ的な役割)という方法が考えられる。本来は、社会福祉士等のSWrがSWを中心的に担い、保育者はサポート的な役割を担う形が理想的といえよう。ただし、現在の保育・福祉・教育の制度、保育士・社会福祉士の養成課程等から考えると実現困難な部分が多い。ひとまずは保育者が担わざるを得ないのが現状である。そのような点は理解しつつ、今後は「保育者が子ども・保護者に最も近い専門職」という特性や、その専門性の向上、業務の負担軽減等の観点から、「必要に応じて可能な範囲で」「よりよい方法を見つけるために」等という部分も意識してSWを援用した支援の実施が必要と考える。
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