研究課題/領域番号 |
15K04050
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
高尾 堅司 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (00412263)
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研究分担者 |
水子 学 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (50341160)
佐々木 新 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (60633873)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 防災対策 / 避難行動要支援者 / 避難行動要支援者の支援者 / 避難行動要支援者名簿 |
研究実績の概要 |
今年度は、避難行動要支援者の防災対策の実態を把握することを目的とした調査を行った。併せて、避難行動要支援者を支援する立場の人々による防災対策の実態を把握するための調査を行った。 調査者は、自閉症スペクトラム障害を有する人を支援する人々と高次脳機能障害を有する人を支援する人々を対象に聞き取り調査(半構造化面接)を行った。調査者は、被面接者に対して避難行動要支援者の障害状況、避難行動要支援者を対象とした防災対策の実行度、防災対策を実行していない理由(防災対策未実施者のみ)、避難行動要支援者名簿の認知有無、避難行動要支援者名簿の対処有効性認知等について聞き取りを行った。 さらに、調査者は,知的障害者施設の施設長(1名)、地域包括支援センターの管理者(1名)を対象に、施設あるいは地域における防災対策の実情等について調査(半構造化面接)をおこなった。 調査の結果、避難行動要支援者を対象とした防災対策が十分に実施されているとは言い難いことが分かった。その背景には、避難行動要支援者自身の要因と避難行動要支援者を支援する側の要因が存在することが分かった。前者については、避難行動要支援者に自然災害をイメージさせることの難しさがその一つに挙げられる。後者については、避難行動要支援者の支援者自身の自然災害に対するリスク認知がその一つに挙げられる。また、避難行動要支援者名簿への登録については、肯定的な回答が認められる一方、発災時において有効に機能するとは言い難いという否定的な回答も見受けられた。 一方、知的障害者施設の施設長を対象とした聞き取り調査においては、自然災害に対する備えに加え、防火という観点から定期的に訓練を実施していることが確認された。また、地域包括支援センターの管理者を対象とした聞き取り調査からは、地域の高齢者が抱える諸問題と防災上の脆弱性が関連していることがうかがえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
避難行動要支援者を支援する人々に対して調査協力を依頼し、調査協力への同意を得るには、相応の時間を要する。それにもかかわらず、初年度において調査協力者を10名程度確保し、半構造化面接による調査を実施できたことは、おおむね順調に進展しているものとみなせるであろう。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の調査の結果、避難行動要支援者自身が抱える背景と、その支援者自身が抱える背景が、防災対策への取り組みに影響を及ぼしていることが分かった。その背景を具体的な水準に落とし込み、避難行動要支援者を対象とした防災対策とその支援者の防災対策に否定的な影響を及ぼす要因を特定する必要がある。また、知的障害者施設の施設長と地域包括支援センターの管理者を対象とした聞き取り調査の内容については、施設運営という枠組みでの防災対策の実情と、地域という枠組みでの防災対策の実情を整理する必要がある。今後は、初年度において得たデータを、より一層詳細な分析を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行上必要とされる物品を購入するにあたり、オープン価格と実際の購入価格とのずれが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度における研究遂行上必要とされる物品購入に使用する。
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