研究実績の概要 |
最終年度においては、ある調査会社の登録モニターで障害者手帳を有する者と同居する家族を対象にWeb調査を実施した。災害自己効力感尺度とコミュニティ意識尺度(短縮版)の各下位尺度得点を従属変数とした、同居家族の年齢層(20歳~44歳、45歳~64歳、65歳以上)と避難行動要支援者名簿の認知有無(既知群・未知群)の2要因分散分析を実施した。その結果、災害自己効力感尺度の下位尺度である自己対応能力と対人資源活用力はともに有意な交互作用が確認された。コミュニティ意識尺度短縮版は、「連帯・積極性」のみ交互作用が有意であった。家族の年齢層によって、名簿存在の既知・未知と災害自己効力感および地域活動への積極性に関わるコミュニティ意識との関係が異なることが明らかになった。また、障害者手帳を有する者と同居しているが名簿の存在を認知していなかった者については、避難行動要支援者名簿への登録に対する抵抗感に障害者手帳の種類による主効果が認められた。多重比較(Holm法)の結果,精神障害者保健福祉手帳と身体障害者手帳の間に有意な差が確認された。 さらに,名簿登録時は障害者手帳を持つ者ではなく、同居家族(本調査の回答者)が登録の同意もしくは不同意を判断すると回答した者(名簿を認知有無問わず)を対象に分析を行った。説明変数として,連帯・積極性,主観的規範,対人資源活用力,連帯・積極性と対人資源活用力の交互作用項を投入し,目的変数として有効感を投入した階層的重回帰分析を行った(説明変数はすべて中心化)。Step1 で主効果の項,Step2 では交互作用項を投入した結果,Step1 はすべて統計的に有意であり,Step2 も統計的に有意だった。単純傾斜の検定を行ったところ,連帯・積極性の高群に対人資源活用力の効果が確認された。
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