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2016 年度 実施状況報告書

要介護者家庭における若齢介護者の心身健康支援プログラム開発のための心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K04074
研究機関九州大学

研究代表者

遠矢 浩一  九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50242467)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード若齢介護者 / 適応 / 国際比較
研究実績の概要

「経済的不利な状況が子どもの適応に否定的影響を及ぼす」と述べられてきたことに対し,家庭経済状況が子どもの不適応に直結しているのではなく,家族との様々な関わりが媒介することで,それらの結果を引き出しているとの仮説のもと,学齢期の主観的経済状況,母親の養育態度,きょうだい関係と大学生の現在の対人適応の関係性について明らかにすることを目的とした。また,経済状況は国によって異なるものであり,家族との関わりについても文化の違いが影響していると考えられ,それらの対人適応への影響も国によって異なると予想された。そこで,マレーシアとの国際比較を行うことで,より多様な観点からの知見を得ることを図った。さらに,近年「ヤングケアラー」や「障がい児のきょうだい」が抱える問題が注目されているように,家族の中にケアを要する人や,障がいを有する人がいるかどうかによって生活環境や適応に差が生じると考え,その具体的な影響を捉えるために,障がいをもつ家族がいるかどうかについても重要な視点として研究を行った。その結果,学齢期の経済状況が大学生の現在の対人適応に直接影響するという結果は得られず,それらの間に媒介する学齢期の家族との関わりがその後の対人適応に影響を及ぼすとの仮説が支持された。また,日本・マレーシア間できょうだい関係の捉え方や多様さが異なることが示唆された。これらの結果から,きょうだい関係の重要性について親に具体的に知ってもらう取り組みを行うことで,まず親自身の不安や悩みを取り除き,安心して子育てができる環境を整える支援が必要であると考えられた。そして,家族に障がいがある場合,障がいのある家族自身だけでなく,その周囲の家族にとっても外部サポートが様々な面における支えとなると考えられるため,家族のニーズに応じた適切な外部サポートとつなげる支援が必要であると示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国内にとどまらず,文化差を考慮しながら若齢介護者の問題について検討できた点で研究は計画通りに進行していると考えられる。本研究では,学齢期の経済状況が大学生の現在の対人適応に直接影響するという結果は得られておらず,それらの間に媒介する学齢期の家族との関わりがその後の対人適応に影響を及ぼすとの結果を得ており,若齢介護者の問題については,多様性を考慮する必要性が示唆された点で,重要な知見が得られていると考えられる。

今後の研究の推進方策

介護の必要な家族成員を有する家庭における,小中学校児童等の家庭内役割のあり方について,心身の健康状態との関連性から調査研究を実施する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 発達障がい児のきょうだい支援グループにおけるきょうだい児と母親の関係性の変容について2016

    • 著者名/発表者名
      樋渡由貴 遠矢浩一
    • 学会等名
      日本心理臨床学会 第35回秋季大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜,横浜市,日本
    • 年月日
      2016-09-04 – 2016-09-07
  • [学会発表] 児童養護施設入所前および現在の生活状況が児童の心理・行動適応に及ぼす影響2016

    • 著者名/発表者名
      丸山沙紀 遠矢浩一
    • 学会等名
      日本心理臨床学会 第35回秋季大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜,横浜市,日本
    • 年月日
      2016-09-04 – 2016-09-07

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公開日: 2018-01-16  

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