潜在制止とは,古典的条件づけにおける条件刺激を条件づけ以前に無条件刺激を伴わずに先行提示すると,後の条件づけが阻害される現象である。本研究では,ラットとキンギョに加えて,両生類(アカハライモリ)と爬虫類(リクガメ)における潜在制止を検討することを目的とした。その結果,リクガメでは条件反応としては全体的な活動性の上昇しか観察されなかったものの,特に重要な結果として,アカハライモリにおける物体ー餌条件づけにおける物体に対する接近反応の成立と新奇な餌と毒物(LiCl)の対提示による食物嫌悪条件づけが生じることを新たに発見した。この成果は,両生類における潜在制止の検討を可能にするものである。
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