研究課題/領域番号 |
15K04496
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山田 康彦 三重大学, 教育学部, 教授 (30220411)
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研究分担者 |
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 准教授 (00378283)
大日方 真史 三重大学, 教育学部, 准教授 (00712613)
森脇 健夫 三重大学, 教育学部, 教授 (20174469)
根津 知佳子 三重大学, 教育学部, 教授 (40335112)
守山 紗弥加 三重大学, 高等教育創造開発せンター, 特任講師(教育担当) (50701439)
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
前原 裕樹 愛知大学, 経営学部, 助教 (00755902)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PBL教育 / 教員養成PBL教育 / 対話的事例シナリオ / オルターナティブ・アセスメントパラダイム / 真正の評価 / PBL教育評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①教員養成型PBL教育における対話的事例シナリオを学校教育実践の全教科・全領域において開発・作成し、検証すること、②事例シナリオの評価基準を作成し、評価方法を開発することである。 それをふまえ、平成27年度の計画は、①対話的事例シナリオの開発を教育実践の全教育課程・全領域において行うこと、②事例シナリオの試行実験を行い、その評価方法の開発を開始することだった。 平成27年度の研究実績は以下のようにまとめることができる。①教員養成型PBL教育における対話的事例シナリオ教育の到達点と課題を明確にすることができた。26年度までの3年間と27年度の半年間の研究の到達点と課題をまとめ、日本教師教育学会題25回大会で発表した。特に、教員養成型PBL教育における対話的事例シナリオ教育の意義、対話的シナリオの原理、さらに対話的シナリオの枠組みを提示することができた。 ②対話的事例シナリオの開発については、教育方法論、教育心理学、生活指導論、特別支援教育論、幼児教育・保育論の各領域、及び小・中学校の教科教育では生活科、音楽科、技術科、図工・美術科、算数・数学科の各教科の事例シナリオの開発に着手し、その多くは単数から複数のシナリオを作成することができた。その成果の一部は、第22回大学教育研究フォーラムで研究発表した。 ③事例シナリオの試行実験と評価方法の開発については、開発したシナリオについて大学の教職及び教科専門教育科目で試行を行い検証を開始した。また評価方法の先行研究として、オルターナティブ・アセスメントパラダイム、コンセプトマップ、教員養成スタンダード型評価方法等を検討した。そして組織的パフォーマンス評価としてアメリカの大学が協力して作成したVALUE評価ルーブリックを参考に、対話的事例シナリオ教育用のルーブリック案を作成し、第22回大学教育研究フォーラムで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の計画は、①対話的事例シナリオの開発を教育実践の全教育課程・全領域において行うこと、②事例シナリオの試行実験を行い、その評価方法の開発を開始することだった。 研究計画①対話的事例シナリオの開発については、教育方法論、教育心理学、生活指導論、特別支援教育論、幼児教育・保育論の各領域、及び小・中学校の教科教育では生活科、音楽科、技術科、図工・美術科、算数・数学科の各教科の事例シナリオの開発に着手し、その多くは単数から複数のシナリオを作成することができた。これによって、教員養成教育の教育実践に関わる教職教育のほぼ全領域の事例シナリオを揃えることができた。教科教育については、上記の5教科に加えて、既に理科、保健体育科、家政科のシナリオが作成されており、ほとんどの教科のシナリオが作成できた。したがって研究計画①については、概ね順調に進展していると評価できる。 研究計画②事例シナリオの試行実験と評価方法の開発については、開発したシナリオについて大学の教職及び教科専門教育科目で試行を行い検証を開始した。また評価方法の先行研究として、オルターナティブ・アセスメントパラダイム、コンセプトマップ、教員養成スタンダード型評価方法等を検討した。そして組織的パフォーマンス評価としてアメリカの大学が協力して作成したVALUE評価ルーブリックを参考に、対話的事例シナリオ教育用のルーブリック案を作成した。特に評価対象の学習項目については、3つの観点から6項目設定し、まったくオリジナルに作成することができた。したがって研究計画②については、大変順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年に引き続き対話的事例シナリオの開発と評価方法の開発を両輪として進める。 対話的事例シナリオの開発については、さらに領域や教科を広げると同時に、シナリオの開発数の増加を図る。 評価方法の開発については、平成27年度に開発した評価ルーブリック案を試行、検証を行い、より完成度の高い評価方法の開発を進める。 また大学の半期の講義のカリキュラムの中で、PBL教育として対話的事例シナリオによる授業をどのように位置づけると効果的なのか、あるいは知識伝達的な講義とのバランスや整合性についても検討する。そのことによって全体としてのカリキュラム評価についても評価方法の開発を進める。 平成27年度に作成し、検証を行った結果と28年度の成果をふまえ、ある程度の事例シナリオの数(二十例)が集積された時点で、蓄積された対話的事例シナリオ、および評価方法についてを報告書としてまとめ、いくつかの学会(日本教育方法学会、日本質的心理学会、大学教育研究フォーラム)にて報告を行い、評価を受けて、成果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に、三重大学以外に広島大学などのPBL教育において事例シナリオを開発して実施している大学に調査研究を行うことを計画していた。しかし主要な研究計画である対話的シナリオの開発とその評価方法の開発の時間がかかり、その研究を優先せざるを得なかった。そのため、必要な機器のための物品費、旅費、研究補助費等がそれぞれ使用できなかった。他大学への調査については28年度に実施する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究開始時の平成28年度の計画に、さらに27年度に実施できなかった調査研究関係費を加えて使用する計画である。 したがって、当初の物品費450,000円にコンピューター関係消耗品150,000円を加えて、600,000円とする。旅費も当初の410,000円に120,000円を加えて530,000円、研究補助及び専門的知識の提供を中心とした人件費・謝金を220,000円に180,000円を加えて400,000円、その他テープ起こし代金なども当初の220,000円に180,958円を加えて400,958円とする。以上、予定の直接経費と次年度使用額の合計は1930,958円とする。
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