道徳教育では、徳目の注入ではなく、主体的に判断し行動する意志が重要である。そのためには自己の内面の象徴に気づく教育方法が必要となる。シュタイナー教育では、メルヘンの語り聞かせを推奨している。メルヘンは、人間を超感覚的世界に誘い、人間の根源的な象徴に触れさせてくれる。このことによって人間は、自己の存在の本質を自覚し、自己の霊性を高めることができる。知識という物質で人間を動かすのではなく、自己の意志という象徴に触れることによって、人間は次のステージに上ることができるのである。自己の内面という分断化できない全体に触れるという「ホリスティック」な視点が、人間の精神性の向上には必要である。
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