研究課題/領域番号 |
15K04573
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研究機関 | 東京成徳大学 |
研究代表者 |
石田 祥代 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授(移行) (30337852)
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研究分担者 |
眞城 知己 千葉大学, 教育学部, 教授 (00243345)
是永 かな子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (90380302)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学齢児支援 / 北欧 / デンマーク / ノルウェー / スウェーデン / フィンランド |
研究実績の概要 |
平成28年度は、研究実施計画(1)北欧における学齢児支援システムの構築と運用を明らかにすることを目的に、平成27年度に質問紙調査と反構造的面接調査を行った。これらの調査結果を分析し、北欧における義務教育学校における児童生徒支援モデルを3類型した。すなわち、①デンマークで主に行われる役割分担型モデル、②ノルウェーとスウェーデンで主に行われる資源連携型モデル、③フィンランドで主に行われるインクルーシブ教育モデル、である。本分析と考察については、北ヨーロッパ研究に投稿し、受理される予定となっている。 また、研究実施計画(2)地域の特色を反映したシステムとトータルサポートネットワークを用いた問題解決方法を検証するを目的に、①地域の特色を整理し、システムとの関連性を分析し、②トータルサポートネットワークを用いた具体的な問題解決方法を検証することを平成28年度の研究課題とした。①については、(2)②の事例研究との関係性から分析を継続中である。(2)②ではフィンランドとデンマークにおいて調査を行い、結果を検証しているところではあるが、下記が示唆され、今後より一層検証を進めることとしている。①北欧においてもいじめや不登校、離婚や貧困のような家庭環境といった問題が児童生徒支援の課題となっている、②第一のセーフティネットとして担任教諭があるが、担任教諭の経験と力量が不足している場合に、福祉サービスチームや校内リソースセンターがスーパービジョンの役割を担っている。これが第二のセーフティネットとして機能している、③資金的な課題のある自治体(フィンランド)では児童生徒の心理的サポートを専門団体に委託する工夫を行っており、今後のわが国の児童・生徒支援の知見となり得る、④フィンランドでは高等学校と専門高等学校にも福祉サービスチーム設置が義務づけられ、従来以上に生徒への支援が行われるようになってきている
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事例研究の対象地域を特定を丁寧に行ったこと、ヨーロッパ状勢の悪化の理由より、事例研究を半分程度のみ終えたところである。平成29年度に残りの半分を終え、研究目的と計画に沿って研究を終了したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は本研究の最終年度となる。 研究実施計画(2)地域の特色を反映したシステムとトータルサポートネットワークを用いた問題解決方法を検証するを目的に、②トータルサポートネットワークを用いた具体的な問題解決方法を検証することを研究課題とし、スウェーデンとノルウェーで事例検討を行う。 また、研究実施計画(3)我が国において実用性のある新たな学齢児支援システムモデルを提示すために、これまでの研究結果を踏まえ、①我が国における地域の特色を抽出し、機能・資源を生かしたシステムモデルを検証するとともに②新たな学齢児支援モデルを提示したい。(3)①②については、研究計画では千葉県と高知県内の地域をモデルの対象とする予定であったが、先行する研究結果を改めて精査し、対象地域を抽出しているところである。北欧における地域特性も加味し、さらに抽出作業を進めていきたい。加えて、北欧の研究協力者から研究の方法とこれまでの研究結果についての助言を得ており、これらも参考にしながら、我が国における新たな学齢児支援システムモデルの提示を最終的な研究目的とし、今後の研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象地域の抽出に時間がかかったこと、ヨーロッパの状勢が悪化したこと等より事例研究を当初予定の半分程度しか遂行できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度中に、当該年度の研究実施計画に加え、平成28年度に遂行できなかったフィールド調査を遂行し、事例を収集するとともにその検証を行う。
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