研究課題/領域番号 |
15K04581
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
谷川 弘治 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (80279364)
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研究分担者 |
山口 悦子 (中上悦子) 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60369684)
濱中 喜代 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70114329)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小児医療 / 医療保育 / 病弱教育 / 専門性の向上 / 多職種協働 / 研修教材 |
研究実績の概要 |
本研究は,小児医療施設で働く保育士と病弱教育担当の教師が協働のパートナーである看護師等と共に学び,支え合うつながりを身近につくり維持していく「多職種合同研修システム」の基盤を固めるため,ア)現場のリーダーを育成する「リーダー育成プログラム」の作成,イ)多職種合同研修(以下,セミナー)で使用する教材類のブラッシュアップと追加を進めていくことを目的としている。 平成28年度の実施状況は次の通りである。 ア)に関する研究:これまでのセミナーに参加し研究参加に同意を得ている人を主たる対象として『小児医療の現場で多職種協働していくために求められる力』をテーマとするセミナーを開催した。フォーカスグループインタビュー形式で職場の現状と課題を話し合ったところ,職場でのリーダーシップに関するさまざまな知見を得ることができた。この成果を基礎に次年度に研修プログラム集を完成させる。 イ)に関する研究:a.からc.までの課題を進めてきている。a.新たに3つの研修プログラム集を研究代表者のホームページに公開した。第6集『子どものための夢の病院をつくろう~改善活動の手法を学び,実践に活かそう』,第7集『病気の子どもの遊びと遊び活動』,第8集『表現力を高める~医療現場での対話と実践を振り返り,共有するために』である。今後,上記ア)の研修プログラム集のほか,3つを加える予定である。b.小児がん経験者の自己形成過程における病弱教育の影響を検討し研修内容に反映させるため,9名の研究参加者に対する面接調査を実施した。今後,さらに10名程度の面接を実施していく予定である。c.医療フィールドにおける保育士と教師の語句使用状況の調査結果を分析,その知見をもとにa.に示した研修プログラム集第8集を作成した。 多職種を想定し体系化された実践的な研修プログラム集は類書がなく,小児医療フィールドでの活用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
達成度を研究課題別に評価したところ,下記の通りであった。 ア)「リーダー育成プログラム」の作成は「概ね順調」と評価できる。当初は研修プログラム集作成から研修実施による検証を想定していたが,複雑な現場環境を考慮し,情報収集のための研修実施を先に置いた。そのため研修プログラム集完成は遅れているが,広く知見を得る点で有効であった。また,研究期間内に完成させることが可能と判断できる。 イ)教材類のブラッシュアップと追加は「やや遅れている」と評価できる。ガイドライン1種,研修プログラム集8種を公開している。追加に力を入れざるを得なかったため,ブラッシュアップができていないが,作業過程で実践評価の視点を明確に示すことができ,ガイドラインの修正点も明確になってきている。基本的なブラッシュアップは研究期間内に可能と判断できる。しかし,小児がん経験者を対象とする面接調査に関しては目標の研究参加者数に届かなかった。新たな研究参加者を得る手立てを立てることができているが,これらの分析結果が明らかにされ,研修プログラムのブラッシュアップに反映させる時期が研究期間の残り半年になる可能性がある。 遅れている点を自覚し,計画的に取り組みを進めていくという観点から,全体的な評価を「やや遅れている」と捉えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年9月に研究成果報告会を公開で開催し,下記の課題をそれまでに達成できるように取り組む。 ・「リーダー育成プログラム」の作成と公開 ・研修プログラム集の追加(3種類を予定)及びすでに公開されているガイドラインと研修プログラム集のブラッシュアップ 平成29年度後半に,ガイドラインと研修プログラム集の全体を再構成し,系統的に学習できるような冊子とする。この作業過程において,小児がん経験者を対象とする調査の知見を反映させることができるように進める。 さらに,これまでのセミナーを支えてきたスタッフとスタッフのコミュニティの特徴を整理,検討し,「支え合うつながりを身近につくり維持していく『多職種合同研修システム』」の条件を析出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
『リーダー育成プログラム』の作成の手順を入れ替えたため印刷費が未使用となったこと,小児がん経験者の面接調査の研究参加者数が予定より少なかったため謝金未使用分が生じたことが上げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
『リーダー育成プログラム』は完成させ,公表する。 小児がん経験者の面接調査を継続し,予定の研究参加者数を得る。
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