研究課題/領域番号 |
15K04838
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
中居 功 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (90207704)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | web / curvature / resonance / singularity |
研究実績の概要 |
平面d-webとは、縦糸、横糸の他いくつかの斜めの全 d 種の糸で織られた織物の構造の総称である。縦糸、横糸等すべての糸がそれぞれ平行直線で構成される場合、その構造は簡明であるのに対し、曲線からなるweb構造は複雑な局所構造を持つ。歴史的はこの局所構造は微分幾何学的に定義された構造である一方で古くから位相的不変性を持つことが示唆されており、1930年代初等に微分位相幾何学という造語を生み出した。本研究ではこのような位相的剛性をあらためて数学的に見直し、低次元の場合に証明することができた。一方このような幾何構造は実世界のなかで波の重ね合わせとしていたるところにみられる。例えば海岸にいくつもの方向から打ち寄せる波のなかにweb構造を見ることができるように、地球規模でもそのような現象がおきている。これらの波は4波以上ある場合に互いに干渉し、エネルギーシフトがおきることが実験により確認され、理論的にも過去に考察されてきているが、その仕組みはまだ不明である。そのような干渉がおきるための一つの条件が曲率の言葉で与えられることが幾つかの先行研究で示唆されている。本研究の目的は、4-web以上の構造に対してその曲率形式を与える公式を具体的に求め、その解析から干渉する領域あるいは曲線を特定することである。現在までに、曲率が0である多くの3-webを多面体群の不変式より構成し、それらの特異点の状況を観察した。またそれらの研究結果を2015年の日本数学会秋季会の特別企画公演で招待公演で発表した。これらの結果は、初等的なものであるが、今後の4以上の WEB 構造の特異性の考察において有益な観点がこれらから得られることが期待される。なお本研究経費は主に、計算機の新たな導入、そのソフトウェア、またポルトガルで開催された複素力学の研究集会への出席、研究連絡に充てられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度は正多面体 3-WEB の定義とそのグラフィカルな扱いのために、様々な形の不変式による表示を試み一定の成果を上げ、その概要を日本数学会で発表することができた。一方、4-webの曲率形式の計算実験に関しては、具体的成果をあげるにはまだ多くの課題が残されている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
できる限り速やかに、計算機による計算実験をすすめる。そのために、現在までに得られている3-webの曲率形式の計算を不変式の観点からの見直しを始める。また同時に、海洋物理学における波の干渉に関する研究の情報収集を進め、今後の研究指針を明確化する。また位相剛性についての結果をまとめ速やかに出版、公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内における研究連絡、情報収集の遅延のため当初計画されていた国内旅費に僅かの残が生じた。次年度における研究の遂行に国内旅費として活用のため、繰り越すこととしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
主に情報収集のために適切に使用する計画。
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