| 研究課題/領域番号 |
15K04877
|
|---|
| 研究機関 | 琉球大学 |
|---|
研究代表者 |
神山 靖彦 琉球大学, 理学部, 教授 (10244287)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
| キーワード | 計算機 / ロボット運動 / 多角形のモジュライ空間 / 球面 / 大円距離 / 直角 / ホモロジー群 / 生成元の関係式 |
|---|
| 研究実績の概要 |
与えられたロボットの姿勢をどの程度連続的に変えることができるかについては、工学での運動学の視点からは古くから研究されてきた。1990年代に入り、ロボット運動の配置空間を、幾何学のテクニックを用いて精密に解析しようという試みが盛んに行われるようになった。特に有名なロボットとして多角形のモジュライ空間が挙げられる。これは以下の空間である。長さの決まった棒を複数本用意し、ユークリッド空間の中でこれらを繋ぎ合わせて閉じた鎖を作る。繋ぎ合わせる関節は自由に動けるようにしておくと、鎖は色々な形を取り得る。この形全体が多角形のモジュライ空間である。
前年度は球面における等辺多角形のなすモジュライ空間についての研究を開始した。つまり、多角形の頂点は球面上にとり、2点間の距離は大円距離とする。球面は曲がった図形なので、モジュライ空間の研究はユークリッド空間に比べて遙かに難しい。その一例として、次の事実がある。ユークリッド空間における等辺多角形のモジュライ空間は辺長に依らないのに対し、球面においては辺長に依る。更に、球面のモジュライ空間で辺長が殆どゼロの場合は、ユークリッドのモジュライ空間となる。このように、球面のモジュライ空間はユークリッドのモジュライ空間を初等的な例として含む非常に興味深い空間である。今年度の研究成果は次の2つである。
1. 球面における任意辺数の等辺多角形の研究は非常に難しい。前年度は隣接2点間の距離が直角である場合に、オイラー標数を決定した。今年度はこの角度が直角である空間のホモロジー群を決定した。そのために複雑な代数の計算が必要であり、今年度購入した計算機を駆使した。
2. ユークリッド空間内の平面等辺多角形のモジュライ空間を考える。前年度は、このホモロジー群の生成元の間の関係式を決定した。方法は空間多角形を経由することであったが、今年度は直接的な別証を与えた。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「10. 研究発表」における1番目の論文を「14. 備考」に書いたResearchGateに掲載したところ、短期間にもかかわらず、かなりのアクセスがある。同様に、2年前の研究成果「A polynomial with coefficients in certain elementary symmetric polynomials」もResearchGateでかなりアクセスされている。
また、球面における等辺多角形のモジュライ空間についての講演を「10. 学会発表」のところに記載した研究集会で発表したところ、多くの聴衆から非常に興味を持たれた。
|
| 今後の研究の推進方策 |
2019年度は研究期間の最終年度なので、球面における等辺多角形のモジュライ空間について纏まった成果を得て、論文を執筆したい。できれば国際誌に受理されるところまで進めたい。
目標とする研究内容は次のことである。等辺多角形のモジュライ空間は辺長に依存するが、全ての辺長に渡って寄せ集めた空間を考える。この空間上のモース関数の候補があるのだが、精査すべき点が色々残っている。前年度の研究発表で述べた「The configuration space of n-tuples of equiangular unit vectors for n=3, 4 and 5」で、5角形以下の場合は成功しているので、この計算方法を一般化することに注力したい。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
2018年8月に東京大学に出張した際、予定より若干安い航空券を購入できたため。次年度の旅費と合算して使用する。
|
| 備考 |
ResearchGate
https://www.researchgate.net/profile/Yasuhiko_Kamiyama
|
