空間経済学は地理学と経済学の境界分野である.その目的は経済活動や経済資源の地理的分布を研究することである.この分野の一つであるNEGでは多くの重要な非線型モデルが構築されている.その中でも特に重要なのがクルーグマンの核周辺モデルである.その均衡解は同モデルの賃金方程式の解として定義される.賃金方程式は全く新しい非線型積分方程式であり,今まで十分に研究されてこなかった.この方程式の非線型積分核それ自身が別の非線型積分作用素で表現されるという意味で,二重非線形構造を持っている.本研究ではその特殊な非線型構造を解析することにより,最も一般的な条件の下で賃金方程式の解の存在を証明した.
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