宇宙の始まりやブラックホールの蒸発を理解するには量子重力理論が不可欠と思われているが、量子重力理論の構築は理論基礎物理学における深刻な難問として未解決である。本研究においては、量子重力の理論模型の一つである正準テンソル模型について研究し、時空や一般相対論の創発現象に関して興味深い結果を得た。具体的には、リー群の対称性を持つ配位が量子論的に高い確率を持つことや、古典的運動方程式が形式的連続極限で一般相対論のそれと一致することなどを示した。正準テンソル模型が量子重力の模型として確立するにはその量子論的性質を更に理解する必要があるが、量子重力として興味深い模型であることがわかった。
|