光の不安定軌道より半径が小さい天体(black hole mimicker)は,天体自身が光を放出しない完全吸収表面を持つ場合には,外部から照らす光を用いては black holeと区別することはできない.しかしながら波動を用いたそのような天体からの散乱波の観測が可能であれば,表面の存在は散乱波のパワースペクトルに周期の長い振動を生じさせる.これは遠方を通る波と星の表面の存在による回析効果の結果である.不安定軌道の存在そのものは,パワスペクトルに対して短い周期の振動を生じさせるので,これらの2種類の振動パターンを解析することで,光では見えない不安定軌道内部の情報を引き出すことが可能となる.
|