研究課題/領域番号 |
15K05287
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
小西 啓之 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70178292)
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研究分担者 |
平沢 尚彦 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (10270422)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 降雪量 / 光学式降水量計 / 降雪粒子観察 / 天秤式降雪量計 |
研究実績の概要 |
本研究は、光学式降水量計(Parsivelと LPM)で測定した降雪粒子の粒径と落下速度のデータを利用した降雪量推定法をより精度良くするために、実際に降った降雪粒子の形状やタイプの補正が必要であると考え、降雪粒子の連続自動観測法の開発とその試行を行うものである。 平成27年度は、USB顕微鏡を用いた降雪粒子の連続自動観察装置の試作を行ったのち、冬季に北海道陸別で光学式降水量計とともに降雪粒子比較試験観測行った。平成28年度は、前年度に観測したデータを用いて、まず降水量検証のデータ解析を行った。天秤式や光学式降水量計で求めた降雪量と降雪粒子連続自動観測装置で得られた降雪粒子の形状との比較検討を行い、相対的に降水粒子が大きく落下速度の小さい粒子が多いとき(樹枝状の雪片の場合)は、降水量の見積もり値が小さく、相対的に降水粒子が小さく落下速度の大きい粒子が多いとき(霰状の雪粒子の場合)は、降水量の見積もり値が大きい傾向が見出され、例数は少ないものの降雪量を見積もる方法を改善する必要があることがわかった。 また、比較観測の例数を増やすため平成28年度の冬季も引き続き陸別で降雪量観測を継続した。光学式降水量計を前年に引き続き地上高2mに設置しただけでなく、地吹雪等の影響を少なくする場合と比較するため高さ10mの場所にも設置し、比較観測を行った。これらは順調に動作し、今後精度良い降雪量推定法の向上に向けて比較検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、自動降雪粒子観察装置の改良も行い、順調にデータを取得することができた。また、光学式雨量計2種3台や天秤式雨量計を11月から3月まで動作させ、途中中断することなく気温風速などの気象データとあわせて順調にデータを取得することができた。今後はこれら降雪粒子の形状や粒径や落下速度の数値データとの相互比較を行い、より精度良い降雪量推定法について考察を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年28年冬季の降雪データを整理し、降雪量推定法の向上に生かす予定である。具体的には次の6項目のデータ比較を行う。1).天秤式降水量計による降雪量、2).光学式降水量計(parsivel)による推定降雪量、3).標準高に設置した光学式降水量計(LPM)による推定降雪量、、4).10m高に設置した光学式降水量計(LPM)による推定降雪量、5).降雪粒子自動観察法による降雪粒子の形状、6).気温風速値。その結果を比較検討後、降雪量推定法の改善について考察する。例として、粒子の形状と推定降雪量の誤差や風速と降雪量の捕捉率などを調べ、補正係数を求めるなどを行う。 これらを元に、事例数が不足しているようであれば平成29年度冬季も観測を継続し、データ数の確保に努める予定である。 また、降雪粒子自動観測法の試作については、日本雪氷学会誌「雪氷」に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、観測機器の設置や維持作業を外注して行う予定であったが、軽作業でそれほど人を要しなかったので、その経費が未使用となり計画との差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
降雪粒子観察装置や天秤式降雪量計などの物品費に充当し、観測機器の強化に用いる。
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