研究課題
基盤研究(C)
磁性現象のシミュレーションは、物質の基本性質を知る上で重要な技術であるが、特定の磁気中心(T項磁気中心)が多数組み合わされた物質(T項多核錯体)ではシミュレーションは困難を極める。本研究では、T項多核錯体を対象に、磁性シミュレーションをおこなうことを目的とした。成果として、これまで未導出であったT項磁気中心の基本方程式をすべて文字式の形で解き、それらを組み合わせて磁性現象の理論式を導出することで、カゴメ格子型二次元ポリマーをはじめとする困難な磁気解析に成功した。
錯体化学
磁性シミュレーションは、スピントロニクスとも関連した重要な技術の一つであるが、T項多核錯体ではシミュレーションは困難を極める。本研究では、一つのT項磁気中心について、行列方程式を文字式の形で解き、これを組み合わせることでT項多核錯体用の磁性理論式を導出した点が特徴である。この方法によって大幅な計算コストの節約ができ、これまで不可能であったT項一次元ポリマーやT項二次元ポリマーの磁気シミュレーションに成功した点に学術的意義がある。