研究課題
酸化ストレスを原因とする肥満から発展するメタボリックシンドロームは、脳梗塞や心筋梗塞のリスクファクターとなることから、予防法の開発が急務である。応募者はこれまでに、光合成細菌の直鎖型ケト化カロテノイドに優れた抗酸化能力が備わっていることを見出してきた。本研究では未だ動物実験では使われたことがないケト化カロテノイドを調べることで、メタボリックシンドロームの予防効果について検討する。平成29年度においても前年度同様に糸状性酸素非発生型光合成細菌Chloroflexus aurantiacusがもつ、糖鎖型ケト化カロテノイドに着目した。この細菌は4-keto3’,4’-didehydro-OH-g-carotene glucosideを最終産物とし、その中間体としても共役二重結合が異なる糖鎖型ケト化カロテノイドを合成する。これらのカロテノイドの合成経路の解明を行った。まず、この細菌の培養を条件を変えて行い、そのカロテノイド組成を分析したところ、嫌気光合成培養下では見られなかったケト化カロテノイドが、好気条件下でのみ合成していることが分かった。また、ゲノム上に見出されたカロテノイド合成酵素の相同性遺伝子を大腸菌の中で発現し、合成されるカロテノイドの分析を行った。その結果、この細菌のカロテノイド合成にはcrtE、crtB、crtI、crtY、crtO、cruF、cruCおよびcruD遺伝子が関与することが分かり、合成経路の決定を行った。カロテノイドのケト化はcrtO遺伝子が関与することが分かったので、C. aurantiacusにおける転写量を調べたところ、酸素存在条件下で転写量が上昇することが分かった。C. aurantiacusにおいてケト化カロテノイドは酸素条件下で合成され、抗酸化作用によって酸化障害から細胞を保護していると考えられた。
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