研究課題/領域番号 |
15K05944
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
渡邉 晃彦 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (80363406)
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研究分担者 |
附田 正則 公益財団法人アジア成長研究所, 研究部, 客員研究員 (00579154)
大村 一郎 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10510670)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超音波 / 温度分布 / パワーデバイス / 故障解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、固体内の音速が材料の温度により変化することに着目し、非接触で固体内部の温度分布を計測する技術を確立し、パワーデバイスの高信頼化技術へ応用することを目的とする。本年度は本研究の原理確認として、固体内部を伝搬し構造界面で反射してくる超音波エコー信号の固体温度変化に対する検出時間変化を実験的に捉えることを目標とし、テストサンプルの設計・製作および実験環境の構築を行った。 超音波エコー信号の検出時間の温度依存性を測定するにあたり、実際のパワーデバイスは積層構造の複雑さや各層の厚さが薄く原理確認には不適当であるため、構造が単純で温度依存性が顕著に現れるテストサンプルを設計・作製した。固体内部を伝搬する音の速度は固体のヤング率に依存することから、パワーデバイス構成材料のうちヤング率の温度依存性が高いはんだで伝搬層を形成することとした。テストサンプルは、ステンレス製の水槽に厚さを変えたはんだ層を形成し、はんだ層を伝搬しステンレスとの界面で反射する超音波エコー信号を測定するように設計した。テスト条件として、室温~100℃の温度差を設定しており、ステンレス製水槽は冷却水を循環させることで観察表面の温度を保つ設計になっている。 全体の測定系は、超音波プローブ、超音波パルサ/レシーバ、超音波エコー観察用オシロスコープ、テストサンプル、ヒータ、光ファイバ温度計で構成した。ヒータはテストサンプル全体を加熱するための大面積のものと、2次元の温度分布を顕著化させるために局所的に発熱させるヒータTEGとを準備した。本年度は以上の原理確認のためのテスト環境構築で終了することとなったが、本研究の基盤となる実験環境は整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は原理確認のためのテスト環境構築で終了することとなった。テストサンプル設計・作製において現有設備では対応できない事態が幾つか発生し、テスト環境構築に遅れが生じた。しかしながら、基盤となる実験環境は整っており、次年度は測定および温度分布マッピング開発に取り組むことができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、まず早急に実験的な原理確認を行う。原理確認ができた時点で2次元測定を行い、温度分布マッピングシステムのプロトタイプを作製する方針で研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
テストサンプルの作製にあたり、はんだ層の形成、ヒータTEG実装など計画になかった外注工程が必要になったが、予算に不足が生じたため実施できず次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度で発生した次年度使用額と平成28年度文として請求した助成金により、上記予算不足により外注できなかった工程を実施する。
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