研究実績の概要 |
むだ時間系のモデル表現と偏微分方程式系への拡張に関して, モノドロミ作用素の定義域とスペクトルの関係についての共著論文が国際誌IEEE TACに掲載された.また, 高次ホールド近似に基づくモノドロミ作用素のスペクトル計算に関する共著論文が国内誌ISCIE論文誌に掲載決定した. これらを発展させた作用素状態方程式表現に基づく状態予測制御系のモデリング, 有限極配置の拡張などについても検討を進めている. スケーラブルな多分解能モデル表現については検討を継続中であるが, 複数の観点を盛り込んだモデル化の例として, 過渡成分と周期成分を考慮した概周期信号予測モデルについて, 周期動作の最適アシストの文脈から検討している. これに関する国際会議論文2編(IEEE ICIT2015, IEEE AMC2016)と国内誌論文1編(JSME論文誌)が採択, 掲載されている. また, 市販のレーザープリンタを流用した, 温度分布制御実験用のプラットフォーム作成にも着手している. 同実験装置を用いた定着プロセスのモデル化と切替型温度推定オブザーバの設計に関する結果を国際会議 IEEE ISMS2016 で発表した. さらにその内容を発展させたものを国際誌 IJSSST に投稿中である. さらに分布系のモデル化と制御の観点から, チューブポンプによる圧力変動のない流体の搬送について検討し, 共著論文を国際会議 IEEE ICIT2016で発表した. 熱間圧延後の冷却テープルにおける鋼板の3次元温度分布制御に関して, 可変分解能モデルと階層型制御方策によるモデル予測制御の検討を行い, 結果を国際会議 IEEE IECON2016に投稿中である.
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降は, 時空間分解能・空間周波数を独立に扱う, より柔軟でスケーラブルなモデル表現の検討と, 動的な分解能変更による計算コストも含めた包括的最適制御の実現に重点を置いて, 研究を進めたい.
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