本研究では,地震動履歴を受ける積雪寒冷地にある火山灰盛土の積雪期・融雪期の崩壊メカニズムを解明し,その危険度評価手法を提案することを目的とした。次のような結論を得ている。(1)積雪時に形成される凍結層は,盛土内の地下水位の増加に影響を及ぼす。特に,融雪期では盛土の力学的不安定化を導く可能性が高い。(2)地震動履歴を有する火山灰盛土に地下水による背面からの浸透流を与えた模型実験では,降雨や波の侵食による浸透流破壊に比べ,せん断履歴の影響は大きい。(3)土の物性評価と力学的評価(浸透流による有効応力の評価)を取り入れた,火山灰質土の内部浸食に対する安定性評価手法(評価フロー)を提案した。
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