本研究の目的は、居住者の生活環境質とインフラ投資効率を維持・向上するために必要となる「人口の集約化」と「インフラの更新・撤去」のタイミングを同時に決定する方法論を構築することである。 具体的には、宮崎県宮崎市を対象として、次のように研究を進める。①人口や各種インフラなどの大規模データとシミュレーション結果を効率的に管理し、地図による視覚化を可能とする都市構造データベースを、汎用的なGISデータベースソフトで構築する。②人口、インフラデータに基づき、生活環境質やインフラ整備状況を整理・分析し、地区診断カルテとしてまとめる。③居住者の生活環境質とインフラ投資効率を維持・向上するために必要となる「人口の集約化」と「インフラの更新・撤去」のタイミングを同時かつ多期間で決定する方法論を構築する。④構築した方法論を対象都市に適用し、人口集約とインフラ管理のロードマップを示す。 最終年度となる平成30年度は、平成29年度からの課題となっていた「人口の集約化」と「インフラの更新・撤去」のタイミングを同時かつ多期間で決定する方法論の構築に取り組んだ。しかし、多く要素が存在すため、同時かつ多期間決定する数理モデルを構築するには至らなかった。そこで、具体的には、関係主体として「住民」「自治体」、便益項目として「QOL生活の質の向上(住民)」「インフラ維持費用削減、災害復旧費用削減(自治体)」「環境負荷削減」、費用項目として「移転に伴う費用(住民・自治体負担)」を設定した上で、趨勢・漸進(建物建替時期に移転)・積極(建物建替時期を待たずに移転)という3つシナリオに対して、各主体の便益と費用の値を比較した(便益帰着構成表を作成した)。その結果、対象地域全体としては、建物建替時期を待たずに(建物の残存価値を自治体が補填して)積極的に人口を集約していくべきとの結論を得た
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