アジアで窒素汚染に曝されている河川流域において、窒素フローの詳細な解析を可能とする数値モデルと同位体トレーサーを活用した手法の開発を目指した。ベトナム北部で水田と都市を主要な窒素発生源とする流域を設定し、現地観測とモデル解析を行った。アンモニア性窒素は都市排水だけでなく、広大な水田地帯でも卓越して検出された。同位体解析により同定された主要な発生源と移動・反応過程を基に水文水質モデルを構築し、代表的な流域に適用した。Cau川流域では、水田と畜産に並んで小規模分散の家内工業からの負荷の重要性を指摘した。また、Day-Nhue川流域では、人工的な流路改変に伴う窒素の大規模な越境を初めて明らかにした。
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