本研究では震災で甚大な被害を受けたいわき市久之浜町と気仙沼市の沿岸部を対象として、夜間の非常時において咄嗟に方向や避難路を認識できるようにしながら、その地域の持つ地形や文化などの空間的特徴を光で可視化する照明社会実験を実施した。避難路認識調査を踏まえて、高台などの地形や、神社など避難の目印となる文化的要素、家屋や空地などに照明を設置した。社会実験の結果、90%以上の住民が夜間でも光によって地理的な方向が認識できるようになった。日常的に地形を可視化することは、夜間の街の様子を記憶に残し、津波による災害が起こった際に逃げる方向の判断を向上させる効果がある。被災地以外への適用可能性も考えられる。
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