船舶の運航はこれまで長年の経験を積んだ船員により行われてきた.しかし,先進国での人件費の高騰や船員志願者の不足,また効率的運用や省力化の観点から,操船の自動化が望まれている. 操船の中でも着桟操船は船舶の運航上,最も難しい操船であるとされている.それは,着桟操船では船速を落としながら桟橋に向かうため,減速に伴って操舵性が著しく低下し,かつ外乱の影響を大きく受けるようになるため高度な操船技術が要求されるためである. 本研究では,着桟操船を主な対象として,実用化可能な新しい操船手法を開発し,最終的に実験によってその有効性を確認している点で,今後の人手不足や操船の高性能化への要求に応えるものである.
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