研究課題
本研究では、原型炉プラズマ物理パラメータの広範なデータベースの構築とともに、基本運転シナリオを中心としたプラズマ過渡応答解析に基づいて運転裕度評価、燃焼制御シナリオの構築を目指している。今年度は、システムコードを用いたデータベースを基にして、中性粒子ビームによる外部電流駆動と圧力勾配によって駆動される内部自発電流の和である駆動電流の空間分布とプラズマ平衡配位を無矛盾に解析し、過渡応答解析に利用する原型炉プラズマ平衡配位のデータベースを構築した。本データベースでは、様々な密度分布や温度分布、プラズマベータ値、安全係数分布に加えて、中性粒子ビームの入射角度を変えて駆動電流分布の異なるデータ群で構成した。その際、周辺部輸送障壁によって形成されるペデスタル構造によって安全係数値が大きく影響を受けることが判明した。そこで、データベースの精度を高めるため、専門家の協力を得ながら、EPED1モデルとMARG2D安定性解析コードを用いて詳細なペデスタル構造の分析を実施した。ペデスタル密度をグリーンワルド密度限界程度に設定した場合に、ペデスタル温度が5keV程度になることが明らかになっている。さらに、平衡解析結果に基づいて、昨年度に実施した1.5次元非定常輸送解析コードを用いた原型炉プラズマの基本運転シナリオの更新を行うとともに、量研機構の先進プラズマモデリンググループの協力を得て、Hモード遷移モデル、ペデスタルモデル、不純物輸送モデルの組み込み作業を実施中である。
3: やや遅れている
今年度中に原型炉プラズマの物理モデルを組み込んで基本運転シナリオを完成させ、過渡応答分析まで実施する予定であったが、現在、モデル組み込み作業中である。過渡応答解析の予備検討は並行して進めており、モデル組み込み作業が終了次第、研究を加速する予定である。
複数の基本運転シナリオの完成後に、意図的に外部制御異常やプラズマ内部擾乱の模擬を印加し、それらに対する高自律性燃焼プラズマの過渡応答特性(変化量、時定数)と制御応答特性(制御量、時定数)を解析し、運転限界に対する運転裕度の定量的な評価を行う。応答特性の研究成果に立脚し、燃焼出力制御を含む複合的な燃焼プラズマ燃焼制御概念を構築するとともに、具体的なシミュレーション検討により、燃焼制御手法を実証する。また、燃焼制御に必要な計測装置やアクチュエータへの要求仕様を明らかにする。
基本運転シナリオの完成が遅れたため、想定していた国際会議への出席を見送った。
研究成果を取り纏めて、国際会議での成果報告、論文発表を行う予定である。
すべて 2016
すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)