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2015 年度 実施状況報告書

シナプス間隙マトリックスによるコンパートメント形成とシナプス分化機構

研究課題

研究課題/領域番号 15K06721
研究機関京都産業大学

研究代表者

浜 千尋  京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (50238052)

研究分担者 中山 実  京都産業大学, 総合生命科学部, 研究助教 (40449236)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードシナプス間隙 / アセチルコリン受容体 / Hig / Hasp / ショウジョウバエ / 突然変異 / CCP
研究実績の概要

Higと同様にCCPドメインを多数もち、コリン作動性のシナプス間隙に局在するHasp (Hig-Anchoring Scaffold Protein) を同定した。その変異ではhig変異と同様に、活動性および寿命が低下し、また、アセチルコリン受容体Dα6とDα7のシナプス後膜上に置ける局在量が半分に低下する一方で、シナプス後部内のDLGは増加していた。さらに、hasp変異の脳では、シナプス間隙におけるHigは消失していた。すなわち、HaspはHigのシナプス間隙への局在に必要であることが判明した。Higのシナプス間隙への局在には、Haspだけでなく、アセチルコリン受容体Dα5、Dα6およびDα7が必要である。これらの三重変異体では、Higの局在量は野生型と比較して20%に低下する。また、HigとHasp、HigとDα6およびDα7は免疫沈降により共沈することから、これらのタンパク質は複合体を形成していることが明らかとなった。
HigとHaspは共にコリン作動性シナプスのシナプス間隙に局在する。その分布を超高解像顕微鏡を用いて観察すると、HigとHaspは同じシナプス間隙内で異なる領域に存在することが明らかとなった。この異なる分子コンパートメントの機能については、既に明らかにされているHigとHaspの機能を反映していると考えられるが、さらにシナプス前部の基本構造であるアクティブゾーンおよびペリアクティブゾーンとの位置関係を解明することにより、シナプス構造全体のモデルを提示していく必要がある。
HaspはHigと同様に、分泌性のタンパク質であり、細胞外に分泌されたのちにコリン作動性シナプスのシナプス間隙に特異的にトラップされる。このことは、Haspをシナプス間隙に繋ぎ止める別のタンパク質が存在することを意味しており、そのタンパク質を同定していくことが今後の大きな課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Haspと相互作用するタンパク質、あるいはHaspがシナプス間隙に局在するために必要なタンパク質の同定を2種類の手法を用いて試みた。第一に、免疫沈降によりHaspと共沈降するタンパク質を質量分析により同定することを試みた。その結果、シナプスの膜に存在することが知られている、あるいは予想される膜タンパク質が候補タンパク質の中に見出された。しかし、これらの候補タンパク質が、Haspとの関係において、どれだけ生理的意義があるのかは今後の解析を待つ必要がある。第二に、RNAiによりHaspの局在が変化する遺伝子の同定を試みた。今までに、CCPドメイン、CUBドメインやIgドメインをもつ分泌性ないし膜タンパク質、シナプスに存在する可能性があるタンパク質などに焦点を定め、約200のRNAi系統を用いて全ての神経細胞でshRNAを発現させて該当する遺伝子の発現を抑制させた。その結果得られた表現型について、今年度は、まずhasp変異が示すような活動性の低下を示す系統を中心に選択した。

今後の研究の推進方策

昨年度の生化学的および遺伝学的スクリーニングにより得られた候補タンパク質ないし候補系統に対して、さらに詳細に解析を加えてHaspとの関係性を明らかにしていく。まず、免疫沈降により同定された2種の膜タンパク質に対しては、いずれも古典的変異株が存在するため、その変異株におけるHaspの局在を解析する。場合によっては、該当する遺伝子のRNAiを用いて同様の解析をする。また、2種の膜タンパク質に対して抗体を作成し、hasp変異株における局在の分布を調べる。さらに、あらためて2種の膜タンパク質とHaspとの複合体形成を解析し、シナプス間隙における局在の相対的位置関係を明らかにしていく。一方、RNAiスクリーニングによって絞られた系統に対して、限られた脳領域でshRNAを発現させ、その上でHaspの局在変化を抗体染色により明らかにしていく。Haspの局在を変化させた系統の該当遺伝子については、順次変異株の分離、抗体の作成を行い、Haspとの関係性を明らかにしていく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The matrix proteins Hig and Hasp exhibit segregated distribution within synaptic clefts and play distinct roles in synaptogenesis.2016

    • 著者名/発表者名
      Nakayama, M., Suzuki, E., Tsunoda, S., Hama, C.
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 36 ページ: 590-606

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.2300-15.2016.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ショウジョウバエのシナプス間隙に局在するマトリックスタンパク質HigとHaspが示すコンパートメント形成と機能2015

    • 著者名/発表者名
      中山実、鈴木えみ子、角田慎一、浜千尋
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド国際展示場
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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