ストレスに対する反応および適応における分子制御機構については不明な点が多い。本研究ではSNAP-25のリン酸化の役割に着目して解析し、①ある種のストレス刺激によって脳内の辺縁系を中心とした領域でSNAP-25がリン酸化されること、②リン酸化が上昇する領域ではこのストレス刺激によりあるモノアミンの放出が増加すること、③SNAP-25のリン酸化を受けないように改変した遺伝子変異マウスには、ストレス環境下での摂食意欲の低下を示す個体が出現することを見出した。以上より、脳内のSNAP-25のリン酸化が、ストレスによるモノアミン放出の増加、ならびに摂食意欲を亢進する機構に関与する可能性が考えられた。
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