研究課題
我々が開発したXp11.2転座型腎細胞がんモデルマウスの前がん病変から発がん、がん病態進展に至る各段階におけるモデルマウスの尿中に存在する尿エクソソームを用いた網羅的miRNA解析から、Xp11.2転座型腎細胞がんのバイオマーカー候補となり得るmiRNA-Xの同定に成功した。このmiRNA-Xは、野生型マウスの尿中では全く検出されないが、TFE3融合遺伝子を発現しているが前がん病変がまだ認められない10週齢のモデルマウスの尿中ではすでに検出されることから、尿中miRNA-Xが有用なバイオマーカーとなる可能性が示唆された。また、モデルマウスの腫瘍組織から単離・培養することで樹立した初代Xp11.2転座型腎細胞がん細胞株およびマウス尿細管上皮細胞株において、その培養上清中エクソソーム内miRNAの発現解析を行ったところ、初代Xp11.2転座型腎細胞がん細胞株由来サンプルでのみmiRNA-Xが検出されたことから、miRNA-XはTFE3融合遺伝子により尿細管上皮細胞及びがん細胞で発現誘導されることを示唆しており、バイオマーカーとして有用である可能性が考えられた。本研究の一部として実施した、骨肉腫の肺転移メカニズム解析研究の成果として、原発巣における低酸素などのがん微小環境変化が、骨肉腫細胞におけるTET2の発現を促進することで、IL6プロモーターの脱メチル化による転写活性化を促進し、その結果、IL-6シグナルによって骨肉腫細胞におけるICAM-1発現やMEK-ERK-HIF-1a経路活性化による代謝リプログラミングを促進し、肺転移を促進することを解明した。さらに、骨肉腫細胞を移植した免疫不全マウスに抗IL6受容体中和抗体を投与したところ、コントロールに比べ生存期間の延伸を認め、IL6シグナルを抑制することが骨肉腫の肺転移に対する新規治療戦略となることが示唆された。
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