本研究では、稀少がんの病態発症・進展の分子機構を転写制御機構の変容の観点から検討した。Xp11.2転座型腎細胞がんでは、原因遺伝子であるTFE3融合遺伝子によるANGPTL2の発現誘導が、その病態発症・進展に寄与している可能性が示唆された。骨肉腫では、原発巣内の微小環境変化により、骨肉腫細胞におけるTET2依存的DNA脱メチル化を介してIL-6発現が上昇し、IL-6シグナルによって骨肉腫細胞での接着分子の発現や代謝リプログラミングが亢進することで、肺転移が促進されることを解明した。さらに、骨肉腫細胞におけるIL-6シグナル抑制が肺転移に対する新規治療戦略となることが示唆された。
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