琉球列島の後期更新世から完新世にかけての陸生層から出土する脊椎動物の化石や遺跡産骨格残骸の探索と分類学的帰属について検討を行い、この地域の動物相の変遷に関する知見の充実と現生動物のDNA分子を主な指標とした現行古地理仮説の検証を試みた。その結果、種の豊富さや陸水環境に乏しい小さな島嶼のいくつか(たとえば宮古島など)も含め、この列島は更新世末期までは現在と比べて著しく多様な陸生脊椎動物相を擁していたことが明らかとなった。化石や骨格残骸の分類学的研究の結果は、現行古地理仮説と調和的であった。港川人遺跡産の動物化石の研究では、陸生動物相の大きな変化や種の絶滅に人類の少なくない関与が示唆された。
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