研究課題/領域番号 |
15K07224
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
竹垣 毅 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (50363479)
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研究分担者 |
阿見彌 典子 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (20588503)
加川 尚 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80351568)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 繁殖戦略 / 行動生態 / 魚類 / 進化 / 卵食 / 子の保護 / 内分泌 / プロラクチン |
研究実績の概要 |
昨年度の野外操作実験の結果から、ロウソクギンポ雄は少量でも摂餌すると全卵食が阻害され卵保護を継続することが示された。本種雄の全卵食が引き起こされる内分泌メカニズムを明らかにするために(目的1)、多くの動物で子の保護ホルモンであることが知られているプロラクチン(PRL)と、摂食抑制機能があるPRL放出刺激ホルモンPrRPに着目した。繁殖期にPrRPの投与実験を行ったところ、予想通り顕著な摂食抑制効果が検出された。昨年度実施した非繁殖期の投与実験では全く効果が検出されなかったことから、この保護を行う繁殖期にのみ働く反応系であることが示唆された。現在、様々な保護段階における雄の脳内PRL遺伝子発現量の測定を試みている。 本種雄の全卵食が、保護初期に集中するメカニズムの検証を試みた(目的2)。これまで早期全卵食は保護コストを削減し、かつ、栄養価の高い発生初期の卵を摂取するためとされてきた。しかし、本種雄においては、卵保護開始後に性ホルモンが下がりきってから全卵食すると、再び求愛可能なレベルまで戻りにくく、再配偶が遅れるため早期化していると考えた。野外で操作実験を行い、全卵食中の雄と求愛期である卵獲得直後の雄、卵保護期の雄の性ホルモンレベルを比較した結果、全卵食中の雄は性ホルモンが下がりきってから全卵食していることが分かった。さらに、保護初期と後期の雄の卵を除去し、翌日の再配偶率を比較したところ、保護初期と後期で再配偶率に差は無く、いずれも素早い再配偶が可能であることが分かった。よって、全卵食の早期化をもたらす要因は性ホルモンの挙動とは関係がないと考えられた。
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