研究課題
基盤研究(C)
グルタレドキシン(GRX)はタンパク質のレドックス制御を通して様々な生体プロセスの調節に機能している。筆者は先行研究で、イネ GRXアイソフォームの1つであるOsGRXC2;2がイネの発芽調節に関与していることを明らかにした。本研究では、過剰発現系統と発現抑制系統を用いて、OsGRXC2;2の発芽調節における役割を解析した。その結果、OsGRXC2;2は植物ホルモンであるエチレンとアブシジン酸を介して種子休眠と発芽を調節していることが示唆された。
農芸化学
植物の種子休眠と発芽は、作物の斉一な発芽や初期生長や、穀類種子の穂発芽に関わることから農業上重要な問題である。主要穀物であるイネは、コムギ、オオムギ等のイネ科主要穀物のモデルでもある。本研究の成果は、イネにおいてOsGRXC2;2による新規な発芽調節機構を明らかにし、穀類の種子生理の理解に貢献するものである。また一部の酒米品種やコムギ、オオムギにおいては穂発芽が問題となっていることから、本研究の成果はそれらの休眠性・穂発芽耐性の向上に寄与すると期待される。