研究計画に沿って、養殖ブリの中間流通業者及び産地の養殖経営による出荷、販売動向 について重点的に調査を実施した。中間流通業者調査では三重県漁連による養殖ブリの集荷状況の他、神奈川県三浦市三崎での短期蓄養状況や消費地加工の形態、さらにスーパーとの取引状況について、築地市場近くに設置されている営業所において月別販売高や価格の動向加えて競合他社を含めた価格競争の情勢等の聞き取りを行った。 養殖経営調査においては、企業経営と家族経営の両者の聞き取りを実施した。企業養殖経営社では、規模拡大を含めた経営の概要把握のほか、野〆・活〆・加工といった出荷・販売形態、それぞれの取引先とそのメリット、ディメリットや販売価格の推移や輸出の取り組み状況、さらにマーケティング活動に投入している人材や経費の推移等の聞き取りを行った。また、企業養殖経営からみた養殖ブリ流通を巡る問題点や今後の課題についても意見を聴取した。家族経営においては、養殖ブリの出荷先や中間流通業者との具体的な取引内容さらに今後の養殖経営、販売のあり方等について意見を聴取した。 これら聞き取り結果と昨年度の調査成果から得られた知見を総合的に判断し、最終年度の研究成果として、2010年以降の養殖ブリ流通の構造変化としてとりまとめた。具体的には、養殖ブリの出荷、販売形態がこれまでの生鮮ラウンド出荷からフィレーなどの製品加工が増加し、卸売市場を経由しない場外流通の進展、取引形態も養殖経営とスーパーとの直接交渉に基づく商流に変化していることなどを明らかにした。
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