フグ毒(TTX)感知によりトラフグ稚魚の食欲が増進し,TTX添加飼料給餌が稚魚の成長を促進するという仮説を立てた。無毒のトラフグ人工種苗にTTXを嗅がせる処理を行い,リアルタイムPCRにより食欲促進ホルモンであるニューロペプチドY(NPY)の脳内での遺伝子発現量を調べた。TTXを感知した稚魚のNPY遺伝子発現量は対照のそれよりも高い傾向が見られた。次に,カゼインを主タンパク源とする飼料(対照飼料)を作製し,これにTTXを添加し35日間飼育した。その結果,対照区よりもTTX給餌区の成長が優り,仮説が概ね支持される結果となった。
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