北海道農業を対象とする本研究は、農家減少が地域維持の限界を超えて進む事態を問題の出発点に置き、土地利用型農業における新たな組織形成の動きに注目した。具体的には、北海道東部の畑作地帯における複数戸法人化の事例を分析対象とした。その特徴は、後継者不在農家の協働による組織形成であり、次世代の農業者を確保・育成しようとする目的を有していることに見出される。モデル法人の分析を通じて、新たな青年農業者の確保には、①創業者世代の子弟によるUターン就農、②家族以外のメンバーを従業員として雇用する、③同じ地域内の未加入の農業者が新たなメンバーとして加入する、という3つのルートが存在することを明らかにした。
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