研究課題/領域番号 |
15K07614
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
鳥居 享司 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (70399103)
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研究分担者 |
江幡 恵吾 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (10325772)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 離島 / 漁業 / 観光 / 振興 / 流通 / ブランド化 / 経営 / フィリピン |
研究実績の概要 |
2016年度は、1)鹿児島県内離島における市場適合(新たな出荷形態、ブランド化など)による漁業経営への効果分析、2)フィリピンパナイ島北部地域における漁業と観光産業の関連分析、を中心に調査研究を実施した。
1)については、奄美大島、種子島、甑島、中之島などを中心に調査を行った。冷凍出荷の取り組みによる流通改善の効果(中之島)、キビナゴ自営加工による経営支援効果(甑島)、複合養殖経営による市場適合(長島)について調査した。また、離島において水産物ブランド化の取り組みが試みられていることから、ブランド化の先進的取り組みであるかぼすブリ(大分県)の分析を行い、その知見の活用を試みた。研究成果の一部を学会において報告するとともに、論文としてとりまとめた(投稿中)。なお、調査にご協力頂いた漁業関係者や加工業者などへ研究内容を報告して、成果の還元に努めた。
2)については、2015年度の調査成果をうけて、パナイ島北部地域において、観光開発が周辺漁業へ与えた影響を分析した。フィリピンの一大観光地であるボラカイ島への魚介類出荷は、出荷地の魚介類供給構造に変化をもたらしていることが明らかとなった。観光地への魚介類供給が促進される一方で、産地においては需給構造が変化して価格上昇が発生していることを確認した。本研究成果については、2017年10月に開催予定の学会において、フィリピン大学のカウンターパートとともに報告する予定である。 また、本研究のスキームを用い、従来より研究してきたフィジーやタイにおける漁業振興の分析に応用し、本研究の汎用性も検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内調査については、当初計画していたとおり、実態調査を実施することができた。海外調査については、フィリピン大学ヴィザヤス校のカウンタパートからの全面的な協力も有り、調査は順調に進展した。 また、研究成果についても、学会での報告はもとより、著書(分担執筆)や論文として整理した。 調査研究を通じて離島における産業振興に興味をもつ研究者、行政関係者、コンサルタント、生産者、島嶼在住者らと問題意識を共有できたことから、彼らとともに「島嶼産業研究会」(https://international-islands.jimdo.com/)を組織して、調査・研究について議論し合う体制も整った。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、奄美群島における流通改善、甑島における自営加工、種子島における新漁具導入と販路改善による経営改善、など市場適応を目指した漁業関係者の取り組みを中心に焦点を当てる。 2017年10月にフィリピン調査のカウンターパート(フィリピン大学ヴィザヤス校)を招聘し、学会において研究成果を報告する。 また、2017年度は調査の最終年にあたるため、研究成果のとりまとめ、報告書の作成、調査対象地への研究成果の還元に努める。 3年間にわたる研究成果の学会誌への投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィリピンでの調査が、カウンタパートの協力により、想定よりも短期間で終えることができた。海外調査旅費が想定よりも少額となったため、翌年度への繰り越しが発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年10月にフィリピンのカウンターパートを招聘して研究会の開催、および、学会報告を行う。その予算の一部に繰り入れ、研究内容のブラッシュアップと研究成果の公表に注力する。
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備考 |
ホームページ内の「最近の研究」「離島漁業研究」のページに研究内容について記載。
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