2型糖尿病初期に認められる高インスリン血症は、その予後と密接に関係しているとともに、アルツハイマー型認知症や大腸がんなどのリスク因子にもなっている。本研究は膵島細胞が酸化ストレスに高感受性であることに着目し、そのインスリン分泌における意義を明らかにすることを目的とした。 本研究により、グルコース取り込みにより細胞内で発生した活性酸素がレドックス感受性TRPチャネルを活性化することが鋭敏なインスリン応答において生理的役割を担っていることが明らかになった。一方、持続的高血糖や脂質異常症で生じた親電子性物質がTRPチャネルの持続的活性化を引き起こし、病理的インスリン分泌に繋がることが示唆された。
|