本研究は糖代謝異常疾患の分子標的を用いて全ての経口用医療用漢方製剤に対して網羅的評価を行った。その結果、インスリン抵抗性糖尿病の分子標的であるプロティンチロシンホスファターゼ1B(PTP1B)に対して大黄甘草湯、麻子仁丸、桃核承気湯、桂麻各半湯および調胃承気湯に高い阻害活性を示した。糖尿病性合併症の分子標的advanced glycation end products (AGEs)およびaldose reductase(AR)に対して、辛夷清肺湯と治打撲一方にそれぞれ高い生成阻害活性を示した。更に、抗酸化試験においては、通導散、大柴胡湯および麻子仁丸には最も高い活性を示した。
|