腸管閉鎖症は、胎生期に形成される小腸や結腸の管腔構造の一部が閉鎖・狭窄する先天性疾患として知られているが、モデル実験動物を用いた順遺伝学的研究は少ない。本研究では腸管閉鎖の分子機構を明らかにするために、メダカ突然変異体を用いた解析を行った。ポジショナルクローニングにより、細胞骨格系の制御に関わる遺伝子を原因遺伝子と同定した。表現型の解析から腸管閉鎖に細胞死や上皮間葉転換は関与しておらず、腸管閉鎖に先行して腸管上皮に異常なアクチンの集積が認められることが明らかとなった。またミオシンIIの特異的阻害剤により、腸管閉鎖が抑制されたことから、アクトミオシン束形成の亢進が関与していると考えられた。
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