進行期直腸癌に対する術前化学・放射線療法(NCRT)の無効症例の原因の1つにがん幹細胞(CSC)の存在がある。現在、がん幹細胞化にはβ-カテニン/EMT(上皮間質転換)機構の関与が考えられている。そこで、直腸癌のNCRT効果予測における腫瘍形態およびβ-カテニンの有用性について調べた。その結果、β-カテニンの核内集積に伴い治療抵抗性が増強すること、また、β-カテニンの誘導により形態的および質的にEMT/CSC化を起こした癌細胞はNCRTに対し抵抗性を持つことが明らかになった。以上よりβ-カテニンの核内発現はNCRT前に効果予測因子となる可能性が示唆された。
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