本研究は野兎病菌(Francisella tularensis)の節足動物への定着機構及びヒトへの感染機構を明らかにすることを目的とした。 これらの分子機構を解明するために、マダニおよびカイコ感染モデルを新たに構築した。これらのモデルを利用し、定着や節足動物内での増殖に必須の野兎病菌因子およびヒト細胞への障害性を担う複数の因子を同定した。 さらに、ヒトへの感染機構においては、VI型分泌機構のエフェクターであるIglEが細胞内輸送を阻害すること、IglCがユビキチンプロテアソーム系を阻害することを示し、これらのエフェクターがヒト宿主細胞内での増殖を増強していることを明らかとした。
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