研究課題/領域番号 |
15K08738
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
向井 直子 九州大学, 医学研究院, 講師 (90596826)
|
研究分担者 |
清原 裕 九州大学, 医学研究院, 教授 (80161602) [辞退]
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | HbA1c / グリコアルブミン / GA/HbA1c比 / 1,5-アンヒドログルシトール / アルツハイマー病 / 心血管病 / 悪性腫瘍 |
研究実績の概要 |
2007年の循環器健診を受診した65歳以上を対象に認知症発症について5年間追跡したデータベースを完成させた。 この追跡調査の成績より、血糖関連バイオマーカーレベルとアルツハイマー病発症との関連を検討した。追跡期間内に116例がアルツハイマー病を発症した。アルツハイマー病発症率(性・年齢調整後)はグリコアルブミン(GA)/HbA1c比レベルとは有意な正の関連(傾向性p<0.01)、GAレベルとは弱い正の関連(傾向性p=0.06)を示したが、HbA1cおよび1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)レベルとは明らかな関係を認めなかった。他の危険因子で多変量調整後もGA/HbA1c比レベルとAD発症の間に有意な正の関係を認めた(傾向性p=0.01)。さらに糖代謝異常を有しない群では、ADに対するGA/HbA1c比高値群のハザード比(HR)は低値群に比べ有意に高く(HR 1.8、p=0.03)、糖代謝異常を有する群でも同様の傾向にあった(HR 1.7、p=0.07)。以上より、地域住民高齢者において、GA/HbA1c比の上昇はADの発症リスクの上昇と有意に関連していたことが明らかとなった。 さらに、心血管病、胃癌の発症、総死亡および死因別死亡の追跡調査を本年度も継続して行った。健診未受診者、転出者についてはアンケート郵送や電話調査、訪問にて病歴を確認した。心血管病および胃癌発症またはその疑いのある者については診療情報、CT・MRIなどの画像データを収集し、確定診断を行った。死亡時には、剖検により診断を確定させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、血糖関連バイオマーカーがアルツハイマー病に及ぼす影響に関する解析に用いるデータベースを完成させ、解析を行うことができた。また、心血管病、胃癌の発症、総死亡および死因別死亡の追跡調査も継続して進んでおり、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
血糖関連バイオマーカーがアルツハイマー病に及ぼす影響に関する研究成果について、学会発表を行うとともに論文を英文誌に投稿する。 また、追跡調査によって得られた情報を用いて、統計解析に用いるデータベースを作成し、血糖関連バイオマーカーと心血管病、胃癌の発症、総死亡および死因別死亡との関係を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
血糖関連バイオマーカーとアルツハイマー病発症のデータベース入力・整備・作成および解析を中心に行ったため、研究成果の学会発表、論文発表の費用については次年度へ回した。そのため未使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
未使用額は、研究実施に必要な物品費、人件費、循環器健診を実施する費用、診療情報収集費用、健診未受診者および転出者について健康状態を確認する追跡調査費用として使用するほか、心血管病、胃癌の発症、総死亡および死因別死亡のデータの整備・入力・解析に伴う研究費、成果発表の旅費、英文誌への投稿費用に充てる。
|