研究課題/領域番号 |
15K08896
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
冲永 壯治 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (30302136)
|
研究分担者 |
冨田 尚希 東北大学, 大学病院, 助教 (00552796)
古川 勝敏 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (30241631) [辞退]
大類 孝 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (90271923) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 東日本大震災 / 高齢者 / 災害公営住宅 / 基本チェックリスト / 認知症 / フレイル / 気仙沼市 / 津波 |
研究実績の概要 |
東日本大震災から7年が経過し、仮設住宅在住の高齢者の多くは災害公営住宅に居を移した。我々は気仙沼市が設置した仮設住宅に住む高齢者を対象に健康調査を行ったが(以降「前回調査」と記す)、その後の追跡調査として、気仙沼市の災害公営住宅に住む高齢者1,500名と、ランダムに抽出した災害公営住宅以外に住む高齢者1,500を対象に、気仙沼市の協力を得て健康調査を行った。調査項目は日本老年医学会が推奨する「基本チェックリスト(KCL)」に加え、居住環境、世帯構成、手段的日常生活動作、社会参画状況、嗜好、併存症である。自記式健康調査票を郵送し、返送により回収した。回収率は40.6%と、前回調査の73.3%よりは低かったが、対象者背景(男女比、年齢、BMI)は前回調査に比べて有意な差はなかった。KCL総スコアでは前回(6.86±5.15)に比べて今回は(5.08±4.63)有意に(P<0.0001)改善していた。KCL下位項目で有意に改善していたのは、ADL、運動、認知機能、うつであり、栄養、口腔機能、閉じこもりに変化はなく、有意に悪化した項目はなかった。フレイル有症率も今回の調査結果において有意に低くなっていたが、非被災地の高齢者データと比べると、よりフレイルである傾向があった。認知機能の特長を解析すると、被災の経験の有無や独居であることとは関連を認めなかったが、社会的孤立は認知機能の低下に正の相関があった。震災の前後の我々の調査で認知機能が悪化したことを示したが、仮設居住となっても(前回調査)回復が停滞していた。災害公営住宅移住が終了し、認知機能をはじめ、いくつかの項目で改善がみられたことは、復興の進行や市のサポートによるものと推測される。この度の結果から、災害公営住宅に住む高齢者の孤立化を予防する介入が重要であることが判明し、市へ結果説明と助言を行った。
|