研究課題/領域番号 |
15K09124
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
桑迫 健二 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (20381098)
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研究分担者 |
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
永田 さやか 宮崎大学, 医学部, 研究員 (00452920)
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ペプチド / G蛋白共役型受容体 / 心血管病 / 分子調節機構 / 臨床応用 |
研究実績の概要 |
アドレノメデュリン(AM)は、強力な降圧ペプチドであり、多彩な臓器保護作用を惹起する。受容体活性調節蛋白2(RAMP2)は、カルシトニン受容体様受容体(CLR)を小胞体から細胞膜に輸送させ、1型AM受容体(CLR/RAMP2複合体)を形成する。CLRをRAMP2の安定発現株に共発現させて、AMの非刺激下に、プロテインキナーゼ(PKC)アクチベーターのPMA(2μM)を1時間添加すると、1型AM受容体の約30%が細胞内移行した。この細胞内移行は、CLRの細胞内C末端領域を完全に欠失させても全く解除されなかった。CLRの細胞内ループのリン酸化部位の変異体4種のうち、Thr175Ala以外は、部分的に有意に細胞内移行が減少した(3種の変異体の間に有意差はなかった)。PMAを加える前のThr175Alaの細胞膜発現は、他の3種と同等であった。Thr175Ala以外の3種の変異体は、PMAによる細胞内移行後に、AMで刺激すると、cAMP反応は有意に低下した。一方、CLRを共発現させて、100μMの8-Br-cAMP(cAMPアナログ)を1時間添加しても、AM非刺激下の細胞内移行は全く見られなかった(5種のCLR変異体も同様)。今後、AMの創薬に向けて、PKCを活性化できる他のG蛋白共役型受容体(GPCR)が、各々のリガンド刺激後に1型AM受容体を細胞内移行させ、異種脱感作を惹起するのか明らかにする必要がある。 その他2つの新知見(非網膜型GPCRキナーゼ4(GRK4)とGRK5による1型AM受容体の細胞膜への輸送の抑制作用およびβ-アレスチン-1とβ-アレスチン-2による1型AM受容体の細胞内移行の抑制作用)に関しては、それらの機序の解明に向けて多方面からアプローチしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3種の重要なシグナル分子(2つのG蛋白共役型キナーゼ(GRK)、2つのβ-アレスチン、プロテインキナーゼ(PKC))の細胞内分子調節機構の新知見(3つ)のメカニズムの解明に時間を要している。これからのシグナル分子に既知・未知の蛋白が作用していると想定しているが、protein-protein interactionの同定法に問題があると思われる。現在、多角的なアプローチにより検討を重ねている。 一般に、培養心血管細胞の遺伝子導入は難しいが、標的遺伝子の導入効率が予想以上に上がらず苦慮している。本研究の成否のカギを握るため、各種条件検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と同様に、3種の重要なシグナル分子の新知見のメカニズム解明を試みる。GRKとβ-アレスチンの遺伝子改変マウスを用いた検討も進める。 最終的に、GRKとβ-アレスチンの新規作用を解除する特異的な方法の開発と治療応用を目指す。一方、AMの創薬に向けて、PKCを活性化できる他のG蛋白共役型受容体が、それぞれの特異的なリガンド刺激後に1型AM受容体を細胞内移行させ、異種脱感作を惹起するのか明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の一部(3種のシグナル分子の新規作用のメカニズム解明)の進行が遅れ、その対策を講じるため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究推進のため、生じた次年度使用額を消耗品と人件費に充てる予定である。
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