研究課題
アドレノメデュリン(AM)は、強力な降圧ペプチドであり、多彩な臓器保護作用(抗炎症作用、抗酸化ストレス作用など)を惹起する。AM受容体はカ ルシトニン受容体様受容体(CLR)と受容体活性調節蛋白2(RAMP2)からなる。RAMP2は、CLRの細胞膜発現とリガンドの特異性を規定する。一般に、多くの受容体は、特異的なリガンドが作用すると細胞内移行を惹起する(脱感作の1つ)。これは、受容体の再感作のために不可欠な現象である。我々は、AM受容体の安定発現株を独自に作製して、クラスリンを経由して細胞内移行したAM受容体が、細胞膜に再分布(再感作)せずにライソゾームに集積することを明らかにした(共焦点顕微鏡とフローサイトメトリーを使用)。CLRの細胞内C末端領域を欠失させると、細胞内移行後に再分布する(ライソゾーム集積を回避する)ことを見出した。この現象は、細胞膜再分布の経路を阻害する2つの薬剤(Monensin 25μM、Bafilomycin A1 200 nM)の前処置により完全に抑制された。AM受容体をライソゾームに集積させる責任領域をより詳細に特定し、その責任領域をより効率的にブロックする手段の確立を試みた。その他2つの新知見(非網膜型GPCRキナーゼ4(GRK4)とGRK5による1型AM受容体の細胞膜への輸送の抑制作用およびβ-アレスチン-1 とβ-アレスチン-2による1型AM受容体の細胞内移行の抑制作用)に関しては、それらの機序の解明に向けて多方面からアプローチを試みたが、研究期間内に全解明に至らなかった。現在も、引き続き精力的に検討を重ねている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)
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