研究課題
申請者は肥大型心筋症患者でPRKAG2遺伝子変異を同定し、変異をマウスに導入すると筋型グリコーゲンホスホリラーゼに特異的な異常スレオニンリン酸化が生じることを見いだした。本研究の目的は、肥大型心筋症における[1] 筋型グリコーゲンホスホリラーゼ(mGP)異常スレオニンリン酸化の機能的意義を明らかにし、新規心不全発症機序を解明することである。リン酸化部位のスレオニンを負電荷を持つアスパラギン酸で置換することにより、スレオニン部位が恒常的にリン酸化された擬似状態を作成可能である。一方、スレオニンのアラニンへの置換は、脱リン酸化されたスレオニンの擬似状態となる。平成28年度は、mGPの野生型および今回同定したX番スレオニンの置換変異型(Thr X Asp、Thr X Ala)のタグ融合mGP蛋白発現コンストラストを作成した。作成したコンストラクトを培養細胞にトランスフェクションさせ、WT-mGP, ThrXAla-mGP, ThrXAsp-mGPを生成した。NADPH産生量を指標にIn vitroにてmGP活性を測定したところ (Forward 反応)、ThrXAsp-mGPはWT-mGTおよびThrXAla-mGPと比較して有意にホスホリラーゼ活性が低下することが明らかとなった。この傾向は、試験管内にAMPを添加することにより更に明確となった。平成29年度はReverse反応(ゲルアッセイによるmGP活性測定系)によって変異型mGP機能を解析した。Reverse反応においてもForward反応と同様に、ThrXAsp-mGPはWT-mGTおよびThrXAla-mGPと比較して有意にホスホリラーゼ活性が低下することが明らかとなった。次世代シーケンス手法を用いて、肥大型心筋症発端者30例を対象に更なるPRKAG2変異のスクリーニングを行ったが、同遺伝子の変異は検出されなかった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
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